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構造家とは?

構造設計に携わり始めた頃、自らの職業を何と称すべきか迷うことがありました。著名な構造設計者らは、自ら構造家、構造デザイナー、デザインエンジニアと名乗ることが多いようです。

ここでは「構造家」と「構造設計者」について記したいと思います。

構造設計とは、業務内容のことを指すと考えられます。諸々の要件を満たす骨組を設計することですね。

一方で構造家とは、構造設計に携わる者のうち、特に建築の意匠まで深く携わる者のことを指します。構造家が関わることで、その建築が本質的に昇華され、より良い作品となるのだと理解しています。

例えば、建築家から言われた通りの形で淡々と法律に従うだけの構造設計があります。もちろんこういった類の仕事も多大な労力がかかる立派な仕事ですが、これだけでは構造家の仕事とは呼べません。

要求を入力して条件に従って計算して結果を出すというのは、本質的に電卓やコンピュータと何ら変わりはないと思います。ましてやAIが発達している昨今では、こういった単調な設計に陥っては職能の存亡も危ぶまれます。

筆者も「構造家」と堂々と名乗れるように腕を磨きたいという想いがあります。しかし、目の前の仕事があまりに膨大だと、上述のような機械的な仕事に陥ってしまうこともたまにあります。そんなときは、クリエイターとして自己批判が必要だなあ、と省みるようにしています。